レジリエント・ピークス

山の選択、日常の決断。登山経験が磨く判断力と自信

Tags: 登山, 判断力, 意思決定, 自己成長, 自信

登山は「判断」の連続

登山道を進む中で、私たちは常に様々な判断を下しています。 例えば、休憩する場所はどこが良いか、どのペースで歩くか、体調に変化はないか、天候が怪しいがこのまま進むか引き返すか、岩場はどう通過するかなど、小さなことから命に関わるような大きな判断まで、多岐にわたります。

これらの判断は、事前に立てた計画だけでは対応しきれない、刻一刻と変化する状況の中で行われます。まさに、仕事や日常生活で予期せぬ問題に直面し、迅速かつ的確な意思決定を求められる状況と共通する部分が多くあります。

登山を通して判断力を磨くことは、山だけでなく、私たちの日常におけるレジリエンス(困難から立ち直る力)を高める上で非常に有効な訓練となり得ます。

登山での判断プロセス

登山における判断は、いくつかの要素に基づいて行われます。

まず、情報収集です。登山地図、地形、天気予報、道の状況、そして最も重要な自分自身の体調や同行者の様子など、あらゆる情報を集めます。これは、仕事でプロジェクトを進める際に、市場調査、競合分析、社内リソース、チームメンバーの状況などを把握することに似ています。

次に、集めた情報に基づき、リスク評価を行います。この選択肢を取った場合、どのような良い点と悪い点があるか、最悪のケースは何で、それは許容できるリスクか、回避策はあるかなどを検討します。登山では滑落、道迷い、遭難、悪天候による低体温症などが考えられます。日常生活では、新しい事業への投資、転職、人間関係の構築など、様々な場面でリスク評価は不可欠です。

そして、集めた情報とリスク評価を踏まえ、決断を下します。時間は限られている場合が多く、全ての情報が揃わないこともあります。それでも、その時点での最善と思われる選択をします。この「決める」行為そのものが、判断力を鍛えます。

決断したら、それを実行に移します。そして、その実行の結果を評価し、必要であれば次の判断に繋げます。例えば、休憩場所を移動したり、ペースを調整したり、ルート変更を検討したりします。この一連のプロセスは、ビジネスにおけるPDCAサイクル(Plan-Do-Check-Act)と非常に似ています。

日常の意思決定に活かす

登山で意識的にこの判断プロセスを繰り返すことは、日常の意思決定に大いに役立ちます。

小さな成功体験が自信を育む

登山では、小さな判断を積み重ね、無事に目的地に到着したり、困難な状況を乗り越えたりといった成功体験を得られます。この「自分で考え、判断し、行動した結果、目標を達成できた」という経験は、自己肯定感を高め、日常の意思決定に対する自信に繋がります。

「あの山の悪天候でも冷静に判断して引き返せたのだから、この仕事のピンチも乗り越えられるはずだ」といった具体的な成功体験が、困難な状況下での自信の裏付けとなります。

安全な登山と判断力

安全な登山のためには、まず無理な計画を立てないこと、事前の情報収集を怠らないことが基本です。そして、登山中には「おかしいな」と感じる小さな変化にも気づき、立ち止まって考える冷静な判断が必要です。疲労や焦りは判断力を鈍らせます。常に自分の力量と相談し、時には計画通りに進まない「引き返す勇気」も重要な判断の一つです。

まとめ

登山で求められる情報収集、リスク評価、決断、実行、そして結果の評価という一連の判断プロセスは、まさに仕事や日常生活における意思決定そのものです。山という予測不可能な自然環境の中で、自らの頭で考え、判断を下し、行動することで得られる成功体験は、日常の困難に立ち向かうための確かな自信と判断力を育んでくれます。

次の登山では、道の選択や休憩のタイミングなど、一つ一つの判断に意識を向けてみてください。その積み重ねが、あなたのレジリエンスと判断力を高める一歩となるでしょう。